【漫画】巨大船もペンギンには勝てない…思わずほっこりする南極観測隊の漫画が生まれたわけ

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新型コロナウイルスの影響で、今年も家で過ごす時間が長くなりそうなゴールデンウィーク。そこでウォーカープラスでは、出かけられなくてもおうちで旅行やおでかけ気分に浸れる漫画を特集。今回紹介するのは、南極の生き物や南極観測隊のエピソードを漫画に描き、Twitterで投稿するうみ( @umi_sousaku )さんの『ふじと南極のなかまたち』だ。

南極の生き物や観測隊の活躍を漫画で描くうみ(@umi_sousaku)さん
南極の生き物や観測隊の活躍を漫画で描くうみ(@umi_sousaku)さん画像提供:うみ(@umi_sousaku)


人の方から触れたり近づいてはいけない南極の動物、なのにペンギンの方から集まってくる――そんなペンギンと南極観測隊とのほっこりする関係性や、日本を離れ観測船で南極へ向かう道中で船酔いに苦しむ観測隊員の一幕など、実話をもとにしたエピソードや漫画ならではのフィクションを交えた作品群はTwitterで大きな反響を集めている。

現在ではクルーズツアーでも足を運べるとは言えど、なかなか行くことができない神秘の大陸、南極。今回は、作者のうみさんに南極を題材に漫画を描き始めたきっかけや、創作上のこだわりなどをインタビューした。

ペンギン観察(2/2)
ペンギン観察(2/2)画像提供:うみ(@umi_sousaku)


南極観測隊の“少年漫画のような熱さ”に惹かれて


――南極にまつわる漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

「もともと昔の船が好きで、現役の船というよりは保存船を見に行くのが趣味だったのですが、『そういえば地元の名古屋港にもオレンジ色の保存船があったな』と足を運んでみたのがきっかけです。それが漫画にも出てくる『ふじ』でした」

「それまで南極のことはまったく知らなくて、南極海の氷を割る船といったら、何かすごい武器みたいなのが付いていると思ったんですけど、中の説明を見たらまさかの“体当たり”……!そのシンプルで少年漫画のような熱さに惹かれて、詳しいことを調べ始めたのがきっかけでした」

――確かにそれはインパクトがあります。そこが入り口になったのですね。

「体当たりアタックのインパクトで『ふじ』に興味をもったわけですが、肝心の、南極に何をしにいくのかを知らなかったので、この船が現役時代にどういう活躍をしていたのかもっと知りたくなり、初代艦長の著作『ふじ南極航海記』を取り寄せて読みました」

はじめてのチャージング
はじめてのチャージング画像提供:うみ(@umi_sousaku)


「そこにこんなエピソードがあります。『ふじ』が氷の上に即席の港を作ろうとしていたときのことです。氷に向けて艦を直角に向けたところ、真向こうにアデリーペンギンが立って艦を眺めていて、サイレンを鳴らしても知らん顔。艦はペンギンがどくのをあきらめて、横着けすることになったというものです。大きくて強い船が、南極先住者のペンギンたちには道を譲る様が、なんとも可愛らしく、優しい風景に見えます。それをきっかけに、アデリーペンギンの動画を見たり、実物を見に行ったりしたのですが、コミカルで可愛くて微妙にガラの悪い姿にすっかりハマってしまいました。思えば、南極の入り口はアデリーペンギンだったようです」

――漫画で描かれる南極観測隊のエピソードはどういったところから得ているのでしょうか。

「南極関連の書籍は多く出版されていて、いろいろ参考にしながら漫画を描いています。また、実際に南極に行った人からお話を伺う機会もありました。赤道祭で女装で踊った話や、マグロを釣ろうとしたらサメが釣れてしまった話などは実際に聞いた話をもとにしています。『ふじ』の船内生活や、南極でのできごとは、日本で普通に生活していては体験できない、興味深いできごとばかりです」

簡単には行けない、でも本当にある南極


――実在した南極観測隊のエピソードを漫画にする上で、こだわりや意識しているポイントは?

「実は『ふじと南極のなかまたち』を描く前は、幕末時代の蒸気帆船を舞台にオリジナルの漫画を描いていたことがありました。そのとき困ったのは、背景が全然分からないことでした。幕末の船は残っている写真が少なかったり、参考になる施設が遠かったりと、常に描きづらさを抱えていました。その点、名古屋港に係留されている『ふじ』は本物です。私は名古屋市在住なので場所も近く、実物が撮り放題、描き放題…。この点を活かして公開されている場所はなるべく漫画に描きたいと思っています」

#ふじと南極のなかまたち1話(4/12)
#ふじと南極のなかまたち1話(4/12)画像提供:うみ(@umi_sousaku)


「それから、この漫画はカラーで描いていますが、『ふじ』のオレンジ色の船体が一番鮮やかに目立つように、他の背景やキャラクターは少しくすんだ色に設定しています。また海の色も、日本近辺と赤道あたり、南極海では全然色が違うので、少し意識して塗っています」

――これまで漫画にした南極のエピソードでもうみさん自身が特にお気に入りなのは?

「昭和基地と『ふじ』では、『キャロム』というボードゲームでみんな余暇を楽しんだそうです。指でコマを弾くビリヤードのようなゲームです。実際にやってみると、けっこうマジになります。このゲームと似た「カロム」というボードゲームが滋賀県の彦根市で今も人気です。私は滋賀県出身なので、少しだけ縁を感じてぜひ描きたかったエピソードです」


――また、読者からの反響はどのエピソードが特に多かったですか。

「やはり、かわいらしいペンギンとの交流を描いた漫画は反響が大きいです。私自身、南極の漫画を描くようになってから、ペンギンの生態に興味を持つようになりました。ペンギンの翼は海中を泳ぐのに特化していて、空を飛ぶ鳥に比べて骨が重く硬いので、ペンギンの翼で叩かれるととても痛いそうです」

――うみさんから見た、南極や南極観測隊の魅力はどんなところにありますか?

「ふじ」艦長がペンギンのスケッチをすると…(1/2)
「ふじ」艦長がペンギンのスケッチをすると…(1/2)画像提供:うみ(@umi_sousaku)


「日本の南極観測は1957年に始まり、現在まで60年以上に渡って続けられています。地球の秘密を知りたいという熱い思いが受け継がれてきた、リアルタイムで、ホットで、わくわくする興味深い世界です。

その活動を支える観測船も、現在の『しらせ(AGB5003)』で4隻目。南極へ行くことは私には簡単ではありませんが、船を見ると、南極は本当にあるんだなあ、そこで本当にがんばってる人たちがいるんだなあと実感できます。そのわくわくする世界の隅っこに自分もまた生きているのだと、誇らしく感じられるところが魅力です」

――今後、漫画で描きたいエピソードはありますか?

「漫画の中ではようやく南極海のあたりに来たところです。このあと『ふじ』は氷海に入り、氷との戦いをはじめます。『ふじ』を好きになったきっかけでもある、砕氷航行のシーンをたっぷり描きたいと思っています」

うみさんがこれまで描いた南極のエピソードは Twitterモーメント にまとめられている。GWは漫画を通して、地球の裏側に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

取材協力:うみ(@umi_sousaku)

情報は2021年4月26日 12:00時点のものです。おでかけの際はご注意ください。

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